こんにちは。草食系大家の中村ひろきです。
不動産投資にかかる税金って複雑なんですよね〜〜!!
しかし、節税をうたって儲からない物件を売りつける不動産業者もいるので、税金のことはシッカリ勉強する必要があります。
「不動産投資にかかる税金ってどれくらい?どうやって支払うの?ほんとに節税できるの?」
などの疑問に答えていきますので、ぜひ参考にしてくださいね。
もくじ
不動産投資にかかる税金の種類

まず上記の図をみてください。これが不動産投資でかかる税金の全貌です。
ここでは「取得時・保有中・売却時」の3つに分けて解説します。
物件を買ったときにかかる税金

物件を買うと、税金などすべての諸費用を合わせて物件金額の10%かかるといわれています。
ぼくが280万円のボロ家を買ったときの総諸費用は27万円だったので、ほぼジャストですね。
内訳は「280万円の物件は総額○○円でした」に書きましたのでご参考に。
さて、話を戻します。
物件を買ったときにかかる税金をザッと挙げます。
- 印紙税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 贈与税
- 相続税
「印紙税」は、印紙税法で定められた課税文書に対して課税されるもの。
不動産取引においては、売買契約書、建築請負契約書、賃貸借契約書、ローンの金銭消費賃貸借契約書がこれにあたります。
印紙税の額は、契約金額によって決まります。
かなり金額の幅がありますが、契約金額が1,000〜5,000万ならば、各書類で1〜2万くらいのイメージですね。
「登録免許税」は、所有権を移転するときや抵当権を設定するときの登記費用にかかる税金。
たとえば土地の所有権を移転する場合は「固定資産税評価額×2.0%」となります。
固定資産税評価額500万の土地ならば10万円の計算ですね。
「不動産取得税」は、不動産を取得した6か月〜1年半後に届く1回きりの税金。
購入時に払うわけではないので「忘れた頃にやってくる税金」と呼ばれています(笑)
取得した不動産の各都道府県から納税通知書が届くので、金融機関に納付します。
計算方法は「固定資産税評価額×4%」なので、土地・建物で1,000万の物件ならば40万円。
ただし税率は各都道府県によって特例があるので各庁のHPを参考にしてください。
「固定資産税」は、前年の1月1日時点の所有者が国に支払うもの。
じゃあ1月2日に購入すれば逃れられるのか・・・?
と思ったんですが、そうではなくて売主と買主で互いに負担することが慣例になっています。
ぼくが1軒目の280万戸建を買ったときは、引渡日の12月17日から3月31日までの日割り分(9,351円)を支払いました。
なお、ここでは物件を買った場合の税金を解説するので「贈与税」と「相続税」は説明を省きます。
物件を保有しているときにかかる税金
物件を保有している最中も税金はかかります。
- 固定資産税と都市計画税
- 所得税
- 住民税
「固定資産税と都市計画税」は、毎年1月1日時点で所有していた土地・建物にかかる税金。
計算方法はかなり複雑で「固定資産税評価額×税率ー軽減額」となっています。
固定資産税評価額の計算は路線価(ろせんか)をもとに決めますが、ここでは省略。
ザックリ例を出すと、ぼくの名古屋市の実家は55坪の築40年戸建で年間20万ほど。
また、1軒目に買った岐阜市の築30年戸建は年間4万ほどでした。
なお固定資産税は区分マンションの所有者でもかかります。ご注意ください。
(都市計画税は、都市計画法をもとにした「市街化区域」のみ対象になります)
「所得税」と「住民税」は、不動産所得だけでなく給与所得などすべての個人の所得に対してかかる税金。
あとで詳しく触れますが、不動産業者が「節税になりますよ!」と叫んでいるのはコレのことです。
物件を売ったときにかかる税金
さいごに物件を手放すときにも税金がかかります。
ここでは「居住用」ではなく「投資用」の物件を売る場合の税金についてお話ししますね。
- 印紙税
- 登録免許税
- 消費税
- 所得税
- 住民税
「印紙税」と「登録免許税」は前述したとおり。
買おうが、売ろうが、取引するたびにこの2つは納税義務が発生します(笑)
「消費税」は、売った建物に対してかかる税金。土地にはかかりません。
よって税率が8%の場合、土地200万/建物1,000万の物件を売ったら80万円かかります。
ここまでの3つは、売ったときに利益(=譲渡所得)に関係なくかかる税金。
ここからの2つは、売ったときに利益(=譲渡所得)が出た場合にかかる税金です。
「所得税」と「住民税」は、個人の所得によって税額が決まるんでしたね。
ということは、売ったときの利益(=譲渡所得)も関与してくるということ。
その譲渡所得は「売った金額ー(取得費+譲渡費用)」で計算されます。
「取得費」とは、詳細は省きますが不動産を買うときにかかった費用。
「譲渡費用」とは、売るときにかかった仲介手数料や測量費などを指します。
ここではじき出した譲渡所得から、特例などによる控除を差し引いたものが、課税対象になる譲渡所得。
課税譲渡所得に税率を掛けたものがいよいよ税額なのですが、保有期間が5年以下or超で税率が変わります。
詳細の計算方法は国税庁HPを確認ください。
さて、不動産投資にかかる税金をまとめます!
物件を買ったとき
・印紙税
・登録免許税
・不動産取得税
・所得税
・住民税
物件を保有しているとき
・固定資産税と都市計画税
・所得税
・住民税
物件を売ったとき
・印紙税
・登録免許税
・消費税
・所得税(譲渡所得が出た場合のみ)
・住民税(譲渡所得が出た場合のみ)
こりゃ「不動産投資は税金との戦い」って言われるのも無理ないですよね(笑)
では、この中で最も大事な「所得税・住民税」の部分について、次章で触れていきます!
家賃収入に応じてかかる税金とは?

前章で紹介したほとんどの税金は、自動的に徴収されるものばかりでした。
たとえば「印紙税」や「登録免許税」は、特に意識しなくても取引するとき勝手にかかります。
しかし、一部だけ自分で申告すべきモノがあります。「所得税」と「住民税」です。
よって、これから不動産投資を始めたい方や節税について知りたい方は、この章をよ〜〜く読んでくださいね!
不動産所得の計算方法
不動産投資において、所得税と住民税は何によって決まるでしょうか?それは不動産所得です。
家賃収入ではありません。不動産所得です。
それでは不動産所得の計算方法をお教えしましょう。
不動産所得=不動産の総収入ー必要経費
よくわからない漢字がたくさん出てきましたね(笑)
「不動産の総収入」に含まれるものは、家賃収入以外にもいろいろあります。
- 家賃収入
- 礼金
- 更新料
- 管理費
- 駐車場代
- 自販機設置などの収入
結構ありますよね。これらをすべて申告しないと脱税になります。
なお、敷金や保証金は返すお金なので含まれませんが、返さないことが確定したら申告しなければいけません。
もう一点注意しなければいけないのは、家賃を滞納された場合。
滞納によって家賃が入金されなくても、入金されたものとして計上しなければいけません。
つまり、収入はないのに税金だけ取られてしまう。いやぁ滞納は恐ろしいですね・・・。
「必要経費」として、不動産の総収入から差し引けるモノは次の通り。
- 広告費
- 修理費
- 管理依託費
- ローン金利(=利息)
- 減価償却費
- 不動産取得税
- 固定資産税
ローンは金利部分だけが必要経費として認められています。
必要経費が多ければ多いほど、不動産所得は圧縮され、所得税は少なくなるというワケですね。
あとで詳しく説明しますが、所得は圧縮すればいいという単純なものではありません。
所得税率によって税額が決まる
所得税は、前年度の所得を3月15日までに現金一括で納付すべきモノ。
つまり、2000年1月1日〜12月31日までの所得を、2001年の3月15日までに納める必要があります。
所得税の税率は、所得が多い人ほど負担が重くなる累進税率がつかわれています。
所得の区分は、不動産所得だけでなく、全部で10種類あります。
- 利子所得・・・公社債や預貯金の利子など。
- 配当所得・・・株の配当など。
- 不動産所得・・・家賃収入など。
- 事業所得・・・ビジネスから生まれる所得
- 給与所得・・・給与やボーナスなど。
- 退職所得・・・退職金など。
- 山林所得・・・山林を伐採した売却益など。
- 譲渡所得・・・物件の売却益など。
- 一時所得・・・クイズの賞金など。
- 雑所得・・・印税や講演料など。
これらの所得を総合したもので税率が決まります。下の表をみてください。
(引用:国税庁HP)
たとえば、給与所得が500万円で不動産所得が200万円のケースをシミュレーションしてみます。
所得税額=課税される所得金額×税率ー控除額
この計算式に当てはめると、
所得税額=(500+200)×0.23%ー636,000円
よって、年収700万円の場合の所得税は974,000円。
住民税の税額は?
住民税は、前年度の所得をもとに計算され、翌年6月から納付がスタートします。
つまり、2000年1月1日〜12月31日までの住民税は、2001年の6月から納付スタート。
サラリーマンは、給与から天引きなので特に意識することはありません。
個人事業主の場合は、翌年6月から納付がスタートし、一括または4回(6・8・10・1月)に分けて納付します。
住民税の計算式は非常にややこしい上に、都道府県や市町村によってビミョーに異なるんですね。
なので「住民税の自動計算サイト」を使っちゃいましょう。こっちのほうが早いです。
たとえば下記条件でシミューレションしてみました。
- 愛知県名古屋市在住
- 1988年生まれ
- 給与所得500万
- 不動産所得200万
- 扶養家族なし
- 社会保険控除50万円
すると・・・

住民税は合計257,900円でした。
項目を埋めるだけで1分あればできますので、ぜひお試しください。
不動産所得が事業所得になるケースとは
「不動産所得が事業所得になる」って、一体なんのことなんでしょう。
ここでもう一度、所得の区分を振り返ってみましょう。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得(これが)
- 事業所得(これになる)
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
おわかりでしょうか?
不動産投資によって得た収入が、不動産所得ではなく、事業所得として計上されるケースがあるということです。
これがウワサの「5棟10室」ってヤツです。
「5棟10室」とは、家賃収入を得ている物件数が、独立した5つの建物または10の部屋に達することを指します。
達するとなにがいいのか。不動産所得を事業所得として計上でき、税制上のメリットを得られるんです。
ここでいう税制上のメリットとは、「青色申告することで特別控除が受けられる」「赤字を翌年以降に繰り越せる」など。
これらのメリットはまた別記事で詳しく説明します。
不動産投資における節税について


不動産投資において「節税」とは、たいてい所得税のことを指します。
ここで念のため、所得税の計算式をおさらいしておきましょう。
所得税額=課税される所得金額×税率ー控除額
つまり、所得税とは、給与所得や不動産所得を合わせた「所得金額」が多いほど、たくさん払わなければいけないのです。
ここでよく引き合いに出されるのが不動産投資による節税効果。
要するに「不動産所得でマイナスを出せば、所得金額を圧縮でき、所得税が減りますよ」ということですね。
不動産投資は節税対策になるの?
さぁ、不動産投資は果たして節税になるのでしょうか。
ぼくの持論は「節税できる側面はあるが、節税自体を目的にすべきではない」です。
これ、どういうことか解説しますね。
そもそも、その不動産で節税ができるということは、その不動産が赤字だということです。
数字を単純にして例を出します。
「50万円の節税ができるけど、収支をトータルすると70万円の赤字が出る物件」があるとしましょう。
これ買う意味あるでしょうか?小学生でも計算できますよね。買っても20万円損をします。
節税自体を目的にするとこういう物件をつかまされがちなので、気をつけましょう。
とはいえ、できる限りお金を残すための節税はしたいですよね。
青色申告をして帳簿をつけると65万円の控除が受けられます。これはまっとうな節税。
売るなら所有期間5年を超えて売ったほうが譲渡税が安くなります。これも当然すべき節税。
こういう節税はいいのですが、赤字を垂れ流してする節税は収支をキチンと見極めなければいけません。
節税対策をするときの注意点

前章で「毎月赤字が出る物件で節税をしようとする場合はキチンと収支計算せよ」とお伝えしました。
もうひとつ、毎月赤字が出る物件で節税する場合のデメリットがあります。
銀行評価が悪くなって、物件を買い増せなくなるんですよ。
もしあなたが銀行の担当者だったら、赤字を出すような人にお金を貸すのは気が引けますよね・・・?
長期的にみてたくさん物件を持ちたいなら、まっとうに税金を払うべき。
ここを間違わないためには、いつまでにどれくらい家賃収入がほしいのか、もう一度よく考えてみることです。
不動産所得を確定申告する方法
不動産所得を確定申告する場合は、国税庁HPの「はじめて確定申告される方」を参考にしてください。
なお、確定申告が不要の方は次のとおり。
- 所得が38万円以下の場合
- 会社から年末調整を受けている場合
- 副収入が20万円未満の場合
初めて不動産投資を行なった年で経費が多い場合など、上記の金額を超えないとき確定申告は不要です。
まとめ
不動産投資をスタートすると、そこから発生した経費のおかげで所得税を減らせることもあります。
しかし、不動産投資は利益が残ってナンボの世界。
できる節税はすべきですが、総収支をトータルしてマイナスになる物件は買うべきではありません。
奥が深い上にコロコロと制度が変わるのでややこしいですが、家賃収入を得るために抜かりなく学びましょう。
そいではまた〜〜!!